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螺旋状に矢の周りを循環させて、後方出力で勢いを増す。
矢自体にも魔力を流し、硬度を上げる。
物質強化、と呼ぶらしい。
アリスの装備にも使われている、とか。
「……よし」
僅かに、でもさっきよりも強い風を纏った矢を、集中を途切れさせずに構える。
集中が途切れれば魔法はとける。
奥で停空しているドラゴンに狙いを定め、放つ。
放つと、アリスの髪を吹き上げる程の風が巻き起こる。
なんとか、成功。
制御しなければいけないのは射るまでだから、射ってしまえばもう安心していい。
矢は他のドラゴンや鳥の間を真っ直ぐ突き進み、的に――当たらなかった。
「あぁ……」
なかなかいい出来だと思ったんだけどなぁ……。
そう毎回、上手くはいかないか。
「今のはなかなか良い線をいっていたぞ」
「そかなっ?」
「あぁ」
そっか、そっか……よしよし。
口元を緩めながらも、アリスは狩りを続けるのだった。
× × × ×
事態が急変した。
というか、事態が動いた、のはその日の夜だった。
薄暗い街道を月明かりが仄かに照らし、一身に受けた殺気が肌を刺す。
対峙するように立つ女の子の髪は柔らかい茶色。
腰までありそうな、その長い髪が夜風でふわりと舞う。
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