知ってる景色と知らない景色

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「どうしてバス停で、バスに乗らずにベンチに座り続けてるわけ? 僕が知る限り、5台はスルーしたよ?」 「いつからいたのよ。ストーカーかよ」 眉間に皺を寄せて僕を見る女の子。 本当に口が悪い……。そりゃあいきなり声を掛けた僕にも非は……あると思うけど。 ま、いろんな人間が世の中にはいるよね。ご愛嬌ってことで……。 「僕はサンタさんだってば」 「ならプレゼント、頂戴よ」 「何が欲しいの?」 警戒心剥き出しだった彼女は、どうやら少し落ち着いたらしかった。隣に座った僕を、もう不審者を見るような目では見てこなかった。 「お金」 「それは無理」 「サンタでしょ?」 「無一文だから」 「意味わかんない」
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