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雪が降り始めた。どうりで寒いわけだ。
30分おきに来るバスがまた1台来た。
けれども彼女は立つ様子もなく、ただじっと座ってバスのドアが閉まるのを見ている。バスが行ってしまうのを見送りながら、ギュッとケータイを握りしめていた。
まさかまだ警察に電話しようと……!
いやいやそれはないよね?
「ねぇ、サンタさん」
「何?」
僕は極めて優しい声音で返事をする。
別に彼女を怖がらせたいわけではないのだ。
「知ってる景色と知らない景色。どっちの方が面白い?」
知ってる景色と知らない景色、か……。そうだな、面白いのは……。
「君はどっちなの?」
「どっちも面白いと思わない」
「どうして?」
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