出会い

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お互い名前も知らない関係。何者かわからないからこそなのかお互いのんびり自由な話ができた。この空間が好きでいつのまにか男を好きになった。けれどすぐにそれは叶わないとわかった。 年齢も同性であることもあるがそらよりも男が恋愛をするのを拒否していることがわかったからでもきっと男も同じ気持ちだったんだと思う。そんな気がするけれど今の関係を壊したくなくて自分の気持ちに蓋をした 男はどちらかというと聞き役に回って僕が一方的にしゃべっていた その日は珍しく男から話してきた 「俺ね。カメラマンになりたかったんだ。だけどカメラの才能はなくてね。仕方なく好きでもない仕事をしたんだ。自分に好きだと言い聞かせてね。だけど余命宣告された時ふと思ったんだ。もう末期なら好きなことをして過ごしたいってだから仕事やめて家出したんだ。同業者には申し訳ないけど俺には唯一生きる手段だったから」 と苦笑いしてなんともないように淡々と言ってきた 俺は余命宣告と聞いて恋愛を拒否したのはそういうことか、家出って自覚あったんだとかそんなことしか考えられなかった。 現実逃避だったんだと思う家に帰って涙が出てきた。そしてずっと一緒にいたい。死んでほしくないとセカンドオピニオンでも使って名医に診てもらったら治るかもしれない もちろん、男はピアノの世界の宝だったから自分は好きなことをしたくても周りが無理矢理病院に連れて行きその度に手の施しようがないとか言われていた。
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