集合

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 風間道夫(カザマ ミチオ)、四十歳。かつて詐欺罪で服役していた。裏の事情に詳しく、四人のリーダー格である。  徳山正幸(トクヤマ マサユキ)、二十五歳。以前はプロの格闘家を目指していた。今も筋トレが趣味であり、いざとなったら総理大臣でもブン殴る超武闘派だ。またフォークリフトからトレーラーまで、大抵の乗り物は動かせる。  中田真理恵(ナカタ マリエ)、二十四歳。アイドル顔負けの美貌と肉感的なスタイルで、大抵の男は手玉に取れる。また、顔に似合わず格闘の腕もなかなかのものだ。その綺麗な顔と魅惑的なスタイルからの、強烈な不意討ちを得意とする。  府川亮一、十六歳。チームの最年少。これといって特徴の無い風貌と気配を消すテクニックを活かし、風景と同化するというカメレオンのごとき特技を持つ。演技も上手く、どこにでも潜りこめる。アドリブも利き、とっさに嘘やでまかせを並べ立てて相手を煙に巻くのも得意だ。  最初に、小沼ビルの一室がヤクザの経営する裏カジノであることを知った風間が、この計画を立てた。朝、売上金の一部を二人のヤクザが組事務所へと運んでいくのだが……その金を、奪おうというものである。  裏カジノの売上金、つまりは表に出せない金だ。奪われても、警察に訴えられない。しかも、金を奪われて困るのはヤクザだけである。  そんな計画を実行に移すのは、他の三人だ。まず最初は、中田がヤクザに催涙スプレーを吹き付け、金の入ったアタッシュケースを奪う。  アタッシュケースを奪った後、中田は思い切りダッシュして十字路を右折する。そこに、タイミングを合わせて徳山の運転する軽トラが通りかかることになっている。  軽トラの窓はあらかじめ開けてあるので、中田は運転席にアタッシュケースを放り込み、止めてあった自転車に乗って一気に逃げる。一方、徳山は軽トラを運転し現場を離れる。その後は、アタッシュケースを風間に渡すだけだ。  最年少である府川の役目、それはヤクザの足止めである。さらに、中田に万が一のことがあった場合……徳山と府川が援護しつつ、三人で協力し合い現場から離脱する手筈になっていたのだ。 「いいか、金を奪うことに固執するな。ヤバいと思ったら、ためらわずに逃げろ。金を稼ぐチャンスは何度でもある。だが、命は一度失ったら終わりだ」
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