ふざけた一年。

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ふざけた一年。

「一年~来い。」 齋藤先生と部長の元に駆け寄る。 吉岡と櫻は 相変わらず涼しい顔をしている。 俺は今までにない距離とスピードで へろへろだ。 「あ~楠木、お前体力つけろ。」 まず部長にそう言われ 頭をワシャワシャ撫でられた。 「お前らさぁ何なんだ?本気で走ってないよな?」 齋藤先生の声に俺は固まってしまった。 「今日は軽い測定だと思って7~8割で走ってます。 総体に持っていけばいいんですよね?」 「俺も櫻と同じ考えで走りました。」 櫻と吉岡がハッキリ答えた。 「お前は?」 「スミマセン。 俺、どうしていいか分かんなくて 二人の背中綺麗だったからついて行きたくて ……追いかけてました。」 俺は恥ずかしくて俯いてしまった。 そんな俺に部長が肩を組んできた。 「楠木、大丈夫だよ。」と優しく言ってくれた。 齋藤先生が大きな声で笑う。 「お前ら最高だなぁ。 今年は3人だけだからどうしようか悩んでいたけど いいなぁお前ら。 非公式だけど3人ともどの種目も総体標準切ってるわぁ~ ホントふざけた一年だなぁ」 とまた笑い出した。
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