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陸上魂。
部活帰りに櫻が声をかけてきた。
「楠木クン、今日これから付き合ってくれない?
僕、新しいシューズとか見に行きたいんだけど。
忙しい?」
「えっ俺?いいよ。何にも予定ないし。」
「ありがとう。楠木クンちどの辺?」
「ウチ、そこ。」
学校向かいのマンションを指差した。
「絶対、遅刻しなさそうだね?
楠木クンち寄ってから僕んち行くのでいい?」
「もちろん。」
二人で俺のウチに向かった。
「ただいまぁ。友達一緒だよ~」
「あらっお帰り。こんにちは?」
「着替えてくる。」
と自分の部屋に向かった。
「僕、楠木くんと同じ陸上部の櫻です。
今日は僕のシューズとか楠木くんと一緒に見てもらいので、
この後、息子さんをお借りしてもいいですか?」
「はいぞうぞ。ただ遅くなるなら連絡してね?
誰とどこに居るか、あと連絡とれるのであれば
ウチは煩くないつもりよ?」
「ありがとうございます。」
「お待たせ。母さん行ってくるね~。」
二人でウチを出た。
櫻のウチは駅向こうで、学区ギリギリの
1時間近くかかるトコだった。
共働きでいつもご両親は帰りが遅いと言った。
駅の近くのスポーツショップに向かう。
櫻は
ランシューとスパイクが見たいと言っていた。
色々見て頭を捻り
「今度、楠木クンと一緒に来た時に買う。」といった。
「いいよ。俺、まだ種目決まってないから買えないし。」
櫻は嬉しそうに笑った。
睫毛長いな
綺麗な鼻筋
櫻の顔は綺麗だった。
部活で着るTシャツは何でもいいとなってるが
俺はバスケっぽいのしか持ってない。
櫻は知っていたのだろう。
「コレ買う?」
背中に『陸上魂』って書いてあるTシャツを見せてきた。
俺は大笑いしてしまった。
櫻はふくれっ面のまま
Tシャツをレジに持って行った。
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