弱々しい生きモノ。

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弱々しい生きモノ。

櫻の泪が綺麗と思ってしまった。 大粒の涙が溢れる。 「櫻、Tシャツ濡れちゃう。」 俺は櫻の『陸上魂』を脱がせた。 櫻は目をまん丸くした。 「ゴメン。僕、僕……」 消えて無くなっちゃいそうな声で呟く。 何だ この弱々しい生きモノは。 俺 護んなきゃダメなんじゃん。 そう思ったら 櫻を抱きしめていた。 櫻は慌てて 「楠木クンのTシャツ濡れちゃう。」 と俺を離そうとした。 俺はTシャツを脱ぎ捨て 櫻をしっかり抱きしめた。 櫻は 何を我慢していたのか 大きな声で泣き出した。 俺にしがみついて 泣き出した。 なかなか泣き止まない櫻を ベッドに横にし毛布を掛けてやる。 腫れぼったくなった目で俺を覗き 掴もうとする。 仕方なく一緒にベッドに入った。 上半身ハダカで抱き合うなんて 初めてて 男同士なのに ドキドキした。 櫻の温もりが伝わってくるのに 淋しそうだった。 俺は抱きしめながら 櫻の柔らかそうな茶色い髪を撫でていた。 「ゴメン。気持ち悪いよね?」 「大丈夫。櫻は気持ち悪くなんかないよ。」 「俺、櫻の側にいるよ?」 「ありがとう。」 櫻の気持ちはわからないけど この弱々しい生きモノを 俺が護ると決めた。
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