仮入部。

1/1
前へ
/155ページ
次へ

仮入部。

今週、一年生は自由に部活見学ができる。 今日も陸上部に来てみる。 「あれ?君、昨日も少し見てってくれたよね?」 陸上部の先輩らしきヒトが声をかけてくる。 「はい。走るのって気持ち良さそうだなって思って。」 小さな声で呟く。 聞こえなかった先輩は 「何の種目やってるの?」 「いえ。俺、陸上やったことないです。 経験者じゃないとダメですか?」 先輩は慌てて両手をブンブン振り回した。 「ゴメン。全然大丈夫だよ。 何か細い感じだから長距離でもやってるのかと思ってさ。」 先輩は頭を掻きながら言った。 「自分に何が合うか分からないんですけど……」 「大丈夫だよ。やってみないと分からないからね。 だいたいのヒトは途中で種目変更しているよ? ていうか陸上興味あるなら仮入部してくれると 嬉しいよ。」 そう言って先輩は俺の手首を持ち 顧問の先生の所に連れていった。 先輩は部長さんだった。 ちょっと必死なはずだ。 俺はにやけてしまった。 俺は顧問の齋藤先生に 仮入部をお願いした。
/155ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加