俺様社長は時に甘く、時に強引に愛を囁く

6/23
前へ
/374ページ
次へ
「さ、さすが社長です。よく、社員のことを見てらっしゃいますね。」 社長から 私へと向けられる 甘い視線に耐えきれずに 視線を逸らしながらそう答えた。 「違う」 「え?」 「社長だからとか、社員だからじゃない……お前だから……相手が他の誰でもない唯香だから自然と目が行くんだよ。」 「……」 「どこにいても、何をしてても俺はいつもお前の姿を探してる……。探して見つけてはホッとする俺がいる。」 「い、いけませんよ、一人の社員だけを特別扱いするのは。」 なんとか ぎりぎりのところで 平然を装いながら 私は社長へとそう言葉を返す。 なんだか いつもと雰囲気が 違いすぎる社長に調子が狂う…… 「……そうだな、社長失格だな。でも、仕方ないだろ。どうしても俺はお前に甘いし、お前だけを特別扱いしたくなる。どんな時でも傍に置いておきたくなる。」 「だ、ダメです……」 「わかってる。だから、これでも社内では抑えてるつもり。」 いや、全然 抑えてないです社長…… 取引先の 会社に出向く時も 出張に行く時も社長は 決まって私のことを指名する。 仕事が できない私が 社長に気に入られ こうやって特別扱いされることが 面白くないと感じる人たちから 反感を買うのは思えば当然のことかもしれない。 .
/374ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3402人が本棚に入れています
本棚に追加