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あの日
大好だった
彼氏の先輩と親友から
同時に裏切られて以来
私は、本当に恋というものをしていない。
もともと
引っ込み思案で
自分に自信が持てなかった私は
大切なふたりから
同時に裏切られ捨てられ
そのショックから
ますます他人との
関わり方がわからなくなり
友達など自分にとって安らぎで
心を許せる存在を作るのが怖くなった。
だから
私のことを
いつも気にかけ助けてくれる
西城さんでさえ私は100%信じきれないでいる。
そんな私が
社長の言葉や
気持ちを信じきれるわけない……。
もう二度と
あんな思いはしたくない……
もう二度と
誰かに裏切られたり
大切な人を失いたくない……
「お、ちょうどいいタイミングで出てきたな、座れよ。」
お風呂を出て
リビングへと行けば
フライパンとお皿片手に
テーブルへと向かう社長の姿が瞳にうつる。
「……あの、お風呂ありがとうございました。」
「んなこといいから座れよ。ちょうど出来上がったところだから。」
……出来上がった?
そう言われ
私は促されるままに
席へと座れば
目の前に置かれたのは
センス良くお皿に盛り付けられた
黄色い卵がフワフワのオムレツだった。
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