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「コーヒー飲むか?」
「あ、社長、私、コーヒーは」
「知ってる。お前がコーヒーはブラックしか飲めないことくらい。」
そう言いながら
席を立った社長は
キッチンへと向かいコーヒーの準備をする。
社長の家は
対面キッチンで
リビングからもキッチンに立つ
社長の様子がこちらからもうかがえる。
「あ、あの」
「ん?」
「どうして私がブラックしか飲めないって知ってるんですか?」
見た目が童顔な私は
いつも子供扱いされがち。
たとえば
社長の付き添いで
取引先の会社へと同行した時も
ほとんどの確率で私の前には
砂糖の入った甘いカフェオレが出てくる。
基本
甘いものが
大好きな私だけど
なぜだか昔からコーヒーだけはブラックで。
「それだけ、お前のこと見てるってこと。」
「っ」
びっくりするくらいに
甘い表情を浮かべながら
そう言った社長の言葉に胸が甘く高鳴る。
昨日から何度
社長の言葉や態度に
こうして胸を高鳴らせたかな……
「他にも、洋菓子が好きなことや昼は決まって弁当持参してることも、人一倍負けず嫌いで頑張り屋で、先輩や同僚から理不尽な嫌がらせにあっても、決して負けないとこも……俺はちゃんと見てるし知ってる。」
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