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「……全然、抑えきれてないですよ」
「そうか?」
「はい」
社長が
仮にそうだとしても
私からしてみれば
そうだとは俄かに
受け取り難いのが素直な感想で
「お前がさっさと俺のモノになれば、後ろ指さされることも、周りに気を使う必要なくなるんだけどな」
「だから私は」
「そう、お前は自他共に認める頑固だからな……焦らず、ゆっくり気長に待つことに決めたよ」
テーブルへと
片肘をのせ
頬杖をついたまま
社長は静かに
私のことをジッと見つめてくる。
「……ゆっくり待たれても、私の気持ちは変わりませんよ。」
「まあ、普通はそうだろうな。けど、今回ばかりは変わるよ。なんたって、お前を惚れさす相手がこの俺、なんだからな。」
そう
言いながら
頬杖をついていない
反対側の手を私へと伸ばした社長は
まるで
壊れ物にでも
触れるかのように
優しくそっと私の口元へと触れ
そして
「な、な、なにし……」
そのまま
私の口元に触れた
自分の手の指を私に
見せつけるようにペロリと舐めた。
「……なにって、口元にケチャップがついてたから、拭いただけだけど?」
「……っ」
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