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自分の
要求が通らずに
ムッとした表情を浮かべる
ワガママ社長に小さくため息をつく。
「なんだよ、俺たちの仲だろ?」
「はい、仰る通り社長と秘書の仲ですので、その要求にお応えすることはできません。」
「おい、唯」
「……社長、いくら私たちが顔なじみとはいえ、ここは会社で今は勤務中です。それをわきまえていただいてもよろしいですか?」
いつまで経っても
ワガママばかり言う社長へと
私は心を鬼にして
少しキツイ口調と表情でそう伝える。
「……クスッ。相変わらず唯香は圭とは正反対で真面目だな。」
けれど
残念ながら
私の意図は
まったく社長に通じていないようで
ふて腐れたようにそう言いながら社長は
私の身体を
抱きしめていた腕を
名残惜しそうに緩め
そのまま自分の席へと腰を下ろした。
「昔は''皇兄、皇兄''って言って俺の後ろをついて回ってたくせに……。あの頃の唯香は」
「社長」
「……はいはい、わかりました。もう言いません。」
これ以上
余計なことを言う前にと
再び
私は社長に
冷たく冷めた視線を送り
釘を刺せば昔話をやめてくれた。
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