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そう言って、美咲も、真冴人の手を握り返す。
しかし、美咲の病状は、良くなるどころか、悪くなる一方で、意識を失う間隔も、日増しに短くなり、徐々に衰弱していった。
それでも真冴人は、毎週スノードロップの花を持って来て、美咲の手を握りながら
「大丈夫、きっと大丈夫だから、希望を捨てないで」
と言った。
美咲は、弱々しく手を握り返すのが、精一杯だった。
数ヶ月後、真冴人の願いも虚しく、美咲は息を引き取った。
美咲の葬儀が終わってから、最初の美咲の誕生日の日、真冴人は、美咲の墓に来ていた。
真冴人は美咲の墓の前で、しゃがむと話し出す。
「美咲には言ってなかったけど、スノードロップは、贈り物にすると花言葉が変わるんだ。贈り物にした場合の花言葉は、『あなたの死を望みます』なんだよ。僕から君への、最後のプレゼントだ。君が好きだった、スノードロップ」
そう言って、真冴人は美咲の墓の前に、スノードロップを置いて去っていった。
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