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クリスマスになった。圭子は一応と言いながらプレゼントをくれたが、それは数日前からアマゾンのダンボールに入った状態で家にあったやつだ。さすがに根がズボラな圭子だ。出かけて現物を見たり、見比べたりすることなく、クリック一つで済ませた。誠はすっかり彼女を好きになっていて、そんな雰囲気になれば付き合ってと言おうかとさえ思っていたのに、全ての盛り上がりに冷や水をかけられた気持ちになった。俺は男の癖に乙女チック過ぎるのだろうか。プレゼントをもらっておいて文句を言ってはいけないと、いろんな言葉をグッと飲み込んだ。こんな時、華は絶対に店舗に行った。一人で行くこともあれば、デートとかこつけて二人で店舗に行き、イチャイチャしながらショーケースを覗き込んだものだった。
派手なキラキラした喜びをもたらすプレゼントと、日常的にしみじみとした喜びを感じるちょっとしたプレゼント、比べてみると甲乙つけがたく、どちらも欲しい。
今まで顔が可愛いとかスタイルが良いとかでたくさんの女性の間をフラフラしてきた誠にとって、初めてまじめに男女交際に求めるものに向き合う機会になった。
人間と人間が接すれば、何かしら新しい機会を与えられる。華はメラメラと嫉妬し執着する気持ちになった。圭子は人のために部屋を整えたり空腹を案じる母親のような疑似体験をした。
プレゼントをあげたりもらったりする事で始まったり終わったりする男女の関係。結局誠は華とも圭子とも関係を続けることにならなかったけど、互いに贈り合った感情や経験は価値のあるものだった。相手が無理をしていないか気をつかう優しさ。相手を喜ばすために苦労を厭わない姿を見せること。相手が欲しがっているものは何ですか?あなたはそれを知ろうとしていますか?
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