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ネットスラングで表現するなら、語尾に大量の草を生やしているような発言に、オレは畳に大の字にバタンと倒れる。
「モウヤダ、疲れた……」
寝転がったままモゾモゾ動き、トモの腿に頭を乗せれば、ぴしゃりと頭を軽く叩かれた。
「コラ! 僕は市川君じゃないぞ!」
「知ってますぅー! ……でも今だけ、ちょっとだけ膝貸して……。心労のせいで死にそうだから」
「こんな場面を市川君に見られたら、幻滅されるんじゃない?」
「そう思うなら秘密にしといて。……オレだって可能なら、トモじゃなくて市川サンの膝枕がいいよ……」
「頭、叩き落としていい?」
トモはそんなことを言いつつも、先程叩いてきた手で頭をなでてくれる。
市川サンのぱんぱんなバイトシフトや、アパートに親が遊びに来ている状況を、オレが彼に話して知っているので、多少なりとも不憫に思ってくれているのだろう。
(大学生に見えない幼い見た目だけど、トモもオレより年上なんだよなぁ……。甘えてるし、甘やかされてるし……)
自分も彼らと同級生なら、と時々思う。
三歳差がとても恨めしい。
「貸しひとつね! ――とりあえず、今僕から琥珀に言えるのは、これくらいかな」
「……うん。あざっす!」
「当日は短気にならず、視野を広くもって観察しておいで」
朝比奈サンの話の終了と共に、膝枕終了の気配も感じて、オレはノロノロと身を起こす。
するとトモはおもむろに立ち上がる。
「次は最初に言ってたソウの話か。――その前にジュースとお菓子取って来るから、ちょっと待ってて」
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