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翌年、五月(SS)~後編②~
「うわ、マジかよ……サイアク……」
スマートフォンの画面に表示された、市川サンからのメッセージを読み、つい心の声を口に出してしまう。
『ごめんなさい!
今駅でまだ母を送ってる最中なんだけど、
色々トラブルが起きちゃって、
たぶん十五分~二十分くらい遅れます!』
このメッセージが送信された先は、俺と市川サンと朝比奈サンの三人がメンバーな、SNSのグループ会話画面へだ。
そして今日は三人で映画を観る約束をした当日であり、オレは待ち合わせ場所へ向かうため、既に家を出てしまっている。
(市川サンが遅れるということは、市川サン来るまで朝比奈サンとふたりきり、てことじゃんか! いきなり地獄かよ!)
『トラブルが起きたって何? 大丈夫?』
『駅についてから、母親が「忘れ物した!」
とか言い出したり、色々あって……』
などとSNSのグループ上でやり取りしながら、うんざりした気分になる。
朝比奈サンと少しの間ふたりきり、というのも気が沈むが、市川サンが一番大変なのを理解しているのに、つい毒づいてしまった自分の狭量さが嫌になる。
『そういう状況なので、星宮君と朝比奈君で、先に合流してて下さい;
僕も出来る限り急ぎます!
本当にごめんなさい!』
『映画は夕方から観るわけだし、気にしないで
怪我とかしないように気をつけて、ゆっくり来ればいいよ』
今日のことについてはSNSで、現在やり取りしている三人のグループを作り、そこで待ち合わせ時間や場所等の相談をした。
(わー……朝比奈サンに言いたいこと先に言われたー……。というかさ、どうしたってこういう流れになるよなぁ……)
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