翌年、五月(SS)~後編②~

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(これはチャンスでラッキーなんじゃないか?! だって市川サン不在の間に、朝比奈サンの真意をストレートに訊けるじゃん!)  自宅最寄り駅のホームで電車が来るのを待ちながら、オレは不審者に思われない程度に、スマートフォンを見つつ口角をつり上げる。  オブラートに包むことなく朝比奈サンに疑問をぶつけ、結果どうなるかは出たとこ勝負だ。  映画の予定が消し飛んでも、それはそれで構わない。  市川サンは顔面蒼白になるかもしれないが、彼にも彼で、その結果をもってきっちり話をつけようと思う。 (まだるっこしいことは嫌いだし、腹の探りあいして勝てるかは怪しい。本当は市川サン挟んでの会話中に探りを入れる予定だったけど、またサシで話せるなら、アレコレ推測する手間が省けていい! 分かりやすくていい!)    憂鬱な気持ちから一変し、非常に好戦的かつ、ちょっと愉快に感じる気持ちがむくむくと湧いてくる。  去年の秋にカチコミをかけられた時はボコボコにされた感があるが、今日は負けてなるものか。――いや前回だって、全然負けてないけれど!   (市川サンが来るまでに、『友達になりたい』なんて、酔狂なことを言い出したことの真意を問いただしてやる!)    久しぶりに会う朝比奈サン相手に、オレはまたガチでやりあうことを決める。  ホームに滑り込んで来た電車に乗り込みながら、「神様はよく分かってるなぁ」なんて思った。
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