翌年、五月(SS)~後編②~

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 *  SNSのグループ上で話し合った結果、朝比奈サンとは改札前で合流することになった。  電車の到着時刻はあちらが先なので、先に彼がそこで待っているだろう。   (いたいた。芸能人でもないのに、相変わらずイケメンで目立ってんな。――それでは……戦闘開始!)    スマートフォン片手にオレを待つ朝比奈サンを発見したので、改札を抜けて彼に近寄りながら声をかける。   「朝比奈サン、どうもお久しぶりです」 「うん。久しぶりだね、星宮君。今日は急に誘っちゃってごめんね。予定、大丈夫だった?」    オレに気がついた朝比奈サンは、女の子なら即落ちしそうな優しい笑顔を浮かべ、スマートフォンをポケットにしまう。   「はい。姉の買い物に、つき合わされそうになってただけですから」  オレだって外見商売のモデルの端くれであるので、負けずに爽やかに笑ってみせる。  ふたりきりでのやり取りなので、無意味なこととは理解しているが、それでも無駄に対抗意識を持ってしまうのだ。 「うーん。それはさんごさんに、悪いことをしてしまったかも?」  去年の秋にカチコミされた後、つまり市川サンと両思いになった後に朝比奈サンと会うのは、これで二回目だったりする。  市川サンのいないところで、俺たちは実は一度会っているのだ。  たまたま駅前のファーストフード店にひとりでいた時に発見され、彼から声をかけられた。 (あの時は突然すぎたからびっくりして、適当に理由つけてソッコー逃げるとかいうカッコ悪いことして、後で悔しくなったけど。……今日は逃げない、というかオレから仕掛けるし、絶対勝つ!)    思い返せば、この時の朝比奈サンの行動も今回と同様で、理解不能だ。
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