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「三番目の理由は、市川君のためかな」
「市川サンの?」
やはり直球勝負は、この手のタイプの人には合わないのだろうか?
とりあえず『友達』になって、探りと推理を繰り返し、少しずつ真意を確認するしかないのだろうか?
そんなことを考えていると、朝比奈サンは三つ目のオレに言える理由を話し出した。
「前に街中で偶然、俺と君たちが鉢合わせた時、市川君てばアワアワしてただろ?」
「今日もそうなると思いますけど」
「この映画鑑賞会で誰が一番、精神的にしんどいか?」と質問されたなら、「市川サンです!」と即答出来る。
市川サン自身もそんなことは重々承知の上で、朝比奈サンの誘いを受けたのだろうが。
(市川サンって、本当マゾ!)
恋人の性質を苦々しく思いつつも、マゾい市川サンもイイトコ無くはないけど……などと、情事中のことにも一瞬思考を飛ばしてしまっていると、朝比奈サンが彼の今後について予言する。
「俺たちの仲が改善しない限り、たぶんずっとそうなるよね。それって可哀想じゃない?」
「三人で会わなきゃいいんじゃないです?」
三角関係のため、全部が市川サンの自業自得とは言わない。
けれど良くいえばお人好し、悪くいえば八方美人な彼の性格故に、そうなってしまうのは仕方がない。
「手厳しいなぁ! 君はどうか知らないけど、恋人になれなくても俺は、市川君とずっと友達でいたいから、出来れば彼に負担をかけたくない」
「朝比奈サン的に距離をとる気はないから、オレと市川サンが恋人な限り、市川サンは胃が痛い、と?」
「申し訳ないけど、時々はそうさせてしまうだろうね」
朝比奈サンが退いてくれるのが、一番手っ取り早くて市川サンのためにもなるが、これまでの発言的にどう考えても無理だ。
(ホンット、迷惑! ――てゆーかさ、このヒト、下手したらマジでストーカー化すんじゃねぇの?! アナタはする側じゃなく、される側だろ?! 怖ッ!!)
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