893人が本棚に入れています
本棚に追加
「……おいおい。西園の感想無し?」
ふにゃりと頬が緩みそうなところで、現実に引き戻される。私は顎に手をやった。
「そうね。仕事できそう感三パーセント増し」
「たった三パーセントかよ。三割じゃなくて」
「ふふふ。正直な感想」
「厳しいな、西園は」
明るい茶髪を揺らしてあははと笑う。そこでバイブの音が響き、千葉君は胸ポケットから携帯を取り出した。ディスプレイの表示を見て、私との会話を切り上げる。
「じゃあ、頼むな」
「了解。月曜日には仕上げるから」
「助かる。ありがとう」
電話に出ながら、笑顔の長身は去って行った。
(月曜日とは言ったけど、近藤さんの仕事が入る前に終わらせちゃお)
私は受け取った書類を『今週中』とタブの付いたクリアファイルに入れた。
最初のコメントを投稿しよう!