サンタクロースのコニーリボン

3/4
前へ
/4ページ
次へ
 あるところに、ひとりの女の子がいました。  女の子の名前はコンスタンス。親しい人からはコニーと呼ばれています。  コニーにはとりわけ大切にしているぬいぐるみがありました。七歳のお誕生日に、サンタクロースからもらったうさぎのぬいぐるみです。  友だちが遊びに来たときには、『ポントニエール街のコニー』と書かれたピンク色のリボンをうさぎの耳に巻いて、「この子はわたしのうさぎよ」と自慢せずにはいられないのでした。  ところがあるとき、家族で行った海の向こうの遠い国で、コニーはうさぎのぬいぐるみをなくしてしまいます。必死になって探しましたが、ぬいぐるみの消息はちっとも知れません。  やがて家へ帰る日が来てしまい、コニーとうさぎのぬいぐるみは離れ離れになってしまいました。  お話はこれでは終わりません。  泣きはらしたコニーが船で大海原を渡っているあいだに、うさぎのぬいぐるみは大冒険をしていたのです。  ぬいぐるみは最初の三日を、コニーたちが立ち寄った洋菓子店のショーケースの上で過ごしました。三日目の夜ようやく店じまいという時間になって、ひとりの男が慌てて入ってくると、ぬいぐるみに目を留めました。 「おや、このぬいぐるみはどこかで見たことがある」 「それはお客さんの忘れものだね。気が付いて戻ってくるかと思って、そのままにしているんだが」 客の男はうさぎのぬいぐるみを手に取り、リボンに書かれた「ポントニエール街」と「コニー」という言葉を見て「あっ」と声をあげました。  偶然にも、客の男はコニーたちを乗せたタクシーの運転手だったのです。 「たしかにポントニエールから来たと言っていたな。ホテルまで送り届けたから、泊っている場所も知ってるよ。私がホテルまで持っていこう」  しかし、うさぎのぬいぐるみが届けられたときには、もうコニーたちはホテルを後にしていました。  ここから、うさぎのぬいぐるみの大冒険が始まります。人から人の手へわたり、砂漠を越えて、海を渡り、ジャングルを駆け抜けて――  一か月後、コニーのもとへ帰ってきました。  真っ白だった毛は薄汚れて茶色くなっていましたが、うさぎのぬいぐるみとの再会をコニーはたいそう喜びました。  そして、コニーのリボンは幸せを呼ぶリボンとして「コニーリボン」と名付けられ、うさぎのぬいぐるみと同じように人から人の手をわたり、多くの人に幸せを届けたのです。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加