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「カテリーナ。入学は構いませんけど、二年目以降の専科選択については、どうするつもりなの?」
クレランス学園は初年度は教養科として全生徒がランダムにクラス分けされるが、二年度以降は希望する進路別に進級する事になり、貴族科、騎士科、官吏科の三つの専科が存在していた。当然その事は念頭にあったカテリーナは、全く迷わずに自分の希望を述べた。
「勿論、騎士科を希望しますわ」
「良く言った! それでこそ、私の娘だ!」
近衛騎士団に入団はしなかったものの、堅苦しい貴族同士の付き合いを忌避するのと同時に剣術の腕前がかなりのものであったジェフリーは、敢えて貴族科ではなく騎士科に進んだ。しかし同様にクレランス学園に進学した三人の息子達のうち、騎士科に所属したのが末息子一人だけだった事に関して内心で不満を覚えていた彼は、末子で一人娘でもある彼女の選択を大いに褒め称えた。しかしそれを聞いたイーリスが、不服そうに口を挟んでくる。
「あなた。このガロア家は、れっきとした上級貴族の家柄なのですよ? その家の娘が、どうして騎士科などに籍を置かなくてはいけないのですか?」
その非難めいた問いかけに、ジェフリーが不機嫌そうに言い返した。
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