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「我が家は代々、武門の家系だ。私自身も在学中は騎士科に所属していたし、圧倒的に数は少ないながら毎年騎士を志す女生徒は存在している。女性王族の身辺を警護するのに、女性騎士は必要だろうが」
「そんなものは下級貴族や平民の、財産も容姿にも恵まれていない娘に任せておけば宜しいのです。どうしてカテリーナが」
「イーリス! そんなものとは何だ! 王妃陛下や王女殿下方に対して、不敬であろうが!?」
「お父様、お母様。お静まりください。皆が動揺しております」
「だがな!」
「ですが!」
ジェフリーが激昂して声を荒げた所で、カテリーナはその論争に割って入った。そして狼狽えている兄夫婦や使用人達を横目で見ながら、冷静に指摘する。
「今の言い合いは客観的に見て、お母様に非があります。私が騎士を目指す理由は、幼少期から武芸一般を、お兄様達と同様に仕込まれた事によるもの。それならばお母様が、最初の段階でそれを阻止すべきでした。そうであれば、私が騎士科を希望する筈も無いのですから」
「それは……。でも、『これがガロア侯爵家の伝統で、私の姉妹も一通り訓練を受けている』などと言われたら、反論など……」
些か納得しかねる顔付きで口を噤んだ母親を見て、カテリーナは次に父親に視線を向けた。
「ですがお父様にも、問題はあります」
「何だと? 私のどこに問題がある?」
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