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(2)苦い思い
「はぁ……、疲れたわ」
食事を済ませて自室に戻るなり気怠げにソファーに座ったカテリーナを見て、彼女付きの侍女であるフィアナは怪訝な顔で尋ねた。
「人を招いての晩餐会でもございませんのに、どうしてご家族で食事をしただけで、そんなに疲労困憊して戻っていらしたのですか?」
「お兄様とお義姉様が、余計な事を口走ったのよ」
「ああ……、大体のところは、見当が付きました。お嬢様の縁談に関わるお話でも出ましたか?」
何やら考え込みながらフィアナが口にした内容を聞いて、カテリーナは本気で驚き、思わず身を乗り出した。
「どうしてこれだけで分かったの? 凄いわ、フィアナ」
「種明かしをいたしますと、少し前、エリーゼ様に呼びつけられて、命じられた事がございまして」
フィアナは苦笑いの表情で答えたが、それとは対照的にカテリーナの顔が渋面になる。
「……お義姉様が? あなたに、一体何を言ったの?」
「お嬢様と釣り合う殿方を話題に出して、その方を誉めるようにと言われました」
「でもこの間、フィアナは私にそんな事を、全く話していないわよね?」
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