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(3)不穏な初対面
従来、使用人にかしずかれている貴族の子女にも、自主自立の精神を養わせる為に寮生活を必須としているクレランス学園は、実質的な授業開始前に全生徒を入寮させ、まずその生活に慣れさせる事にしていた。
「おはようございます、カテリーナ様。登校初日が良いお天気で、清々しい気分ですわね」
本格的な授業開始日の朝、カテリーナが敷地内の寮から授業棟に向かって歩き出すと、旧知の人物から声をかけられた。それに彼女は笑顔で返す。
「おはようございます、アルゼラ様。本当にその通りですね。昨日発表されたクラス分けではご一緒でしたし、一年間よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします。良く存じ上げているカテリーナ様とご一緒で、とても心強いですわ。寮に入ってから戸惑う事が多くて、途方に暮れておりましたし」
「やはり身の回りの事をする者がいないと、勝手が違いますわね」
「ええ、本当に。ですが、貴族に平民の方々の暮らしを疑似体験させる事が、この学園の設立目的の一つと伺っていますもの。頑張りますわ」
「……そうですわね」
笑顔で同意したカテリーナだったが、内心では少々納得しかねる物があった。
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