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結局、朝の風呂はスッキリして終わり、皆で楽しく朝食を食べて、瞬が鹿の木彫りを抱えてる。
俺はお手伝いさんの分の食べ物とサワさんには子宝飴。
親と弟に、まんじゅうを買って帰りの電車に乗った。
瞬には朝起きたことは言ってない。
あとから少し焼きを入れないと懲りないだろうと思って言わなかったんだけど、サワさんが駅まで迎えに来てくれていた。
「サワさん?わざわざありがとうございます」
そう言って子宝飴を渡したら引き攣ってた。
「ちゃんと食べてくださいね?」
ニッコリ笑えばサワさんは、眉間のシワを深くする。
この人、優しいのに強面だからなぁ...怖いなぁ。
「タロ...お前まで俺を弄りに掛かってんな?」
頭をぐしゃぐしゃにされたけど怒ってないようでホッとした。
「ん、土産」
あからさまに、新聞にくるまれたそれは、見栄え的にもとんでもないのが分かる。
「なんだよまた木彫りかよ」
「俺からの土産だよ?ありがたく受け取りなよ」
瞬のこういう時の、イタズラ顔好きなんだよね。
「へいへい、あんがとさん」
開けもしない辺り、慣れてんなぁと思ってたら、サワさんが俺の肩を抱いた。
結構筋肉質で、いい身体してるんだよね。
「タロ...夜は激しかったか?」
「は?デパガメって奴ですか?」
「社長機嫌良すぎて怖いんだよ」
俺には、わからない...これで機嫌いいの!?
「俺には、大抵荷物として渡して来て、中身確認しないもんならギャースカ怒るんだけど今日は違うからな」
瞬の行動は、サワさんにもバレバレか。
「神川さんに、背中のキスマークバレましたけどね」
と、少し大きめの声で言えばサワさんがニヤリと笑った。
そして、それを聞いてた瞬が慌てて俺の手を取った。
「何もされて無い!?」
神川さん...相変わらず敵認定だな。
「誰かさんが背中なんかに痕残すから...」
そう伝えたら青ざめて車に乗りこんだ。
俺と瞬は後部座席ですったもんだ。
それを笑いながら受けとめてくれるサワさんが凄いなぁと思いながら、俺達は旅行を終えたのだった。
翌日、サワさんがキノコの子宝飴咥えて家のなかをウロウロしてて俺も瞬も吹き出したのはまた別の話。
【完】
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