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そう思ってたはずだが、あまりに寝続けるから、俺は一人外の景色とにらめっこ。 瞬は仕事となると、泣き言も言わないし俺に何かを求めることも無いんだけど、最近は仕事が終わると、俺の部屋に...いや、俺を抱き潰すと言う変な習性がある。 結構辛いんだよね。 深夜に潜り込んできて、抱かれる身にもなって...と言いつつ期待してる自分もいるからお互い様なんだけどね。 どうしてこの人は俺にこうも快楽を植え付けたいのか...本当に謎だ。 そんな事しなくても、簡単に離れたりなどしないのに。 まぁ、それはいい。 もう少しで目的地が近いと電子的なアナウンスが流れたから、俺は荷物の確認をして瞬を揺り動かした。 片道2時間の街並みは、高層ビルの群れを消し去り木々で覆われた山並みに、現れるポツポツとした宿を視界に捉えた。 そんな中でアナウンスが再び流れて、俺は本格的な瞬起こしをしなくてはならない。 気持ちよさそうに寝てるけど、頭ひっぱたいてようやく、瞼が開いた。 「痛い...」 「もう少しで下車駅っ、起きて」 「あーん、おはよう」 完全寝ぼけモード。 とりあえず、水色のマフラーグリグリ巻いて焦げ茶のジャケット着せたら、俺も上衣を着て待機。揺れる頻度が高くなる度に連結のレールを走ってるのだろうと荷物を持った。 「タロ...ん、起きた」 俺は身支度整えて、席に背中を預けると電車の揺れが体に心地いい。 「瞬、おはようございます」 ニッコリと笑って伝えたらまだ眠そうに目を擦ってボーッとしてる様に見えた。 「うん、もう着いちゃうんだね」 乗車して案外早くに眠ったから街中感覚だったみたいで、窓の外を二度見してた。 そして、駅に着けば小さな駅のホームが見えて来る。 「ここみたいですね」 電車が、緩やかに速度を落としてこの駅に停車するのだと確認すると俺は荷物を持って立ち上がった。 瞬も続いて立ち上がり二人で駅のホームに降り立った。 「すげー田舎」 「ちょ、しーっ!」 数名がこの駅で下車していてあからさまに、学生の子もいる中でその発言は良くない。 慌てて学生見たら...あーね、見た目は超絶イケメンだっけ。 3人の女子が、口ポカンとして瞬を見てるからさっきの発言はきっと耳に届いてないだろう。 「タロ...行こうか」 爽やかに笑う瞬を見て、きゃぁきゃぁと騒ぐ女子の横を、俺は苦笑いで通過した。 本当は残念なんだよこの人と、伝えたい。
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