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鼻先が擦れ合う擽ったさにクスクス笑ってから唇をそっと啄んだ。 「瞬が、残念でよかったかも」 「何それ」 そう言ってまた、キスをしてから離れる。 「俺は妬かずに済みそうだって意味です」 そう告げて、テーブルに用意されているお茶の葉を急須に入れ、二人分の茶を淹れた。 「俺は妬きすぎて焦げる...」 そう言って背中に張り付いて来た。 なぜそんなに不安になるのか俺には到底わからない。 瞬を好きだし、女の子に気がむいたらやっぱり気になるし、妬くけど、残念過ぎて俺はこの人の気持ちを疑うことが無いんだ。 そして、瞬は信じてない訳じゃないのだと言うのも解るんだけど、普通の顔を持つ俺がイケメンに妬かれるのはなんか違う気がする。 とりあえずお茶を差し出したらべったりのままだが落ち着いたらしく大人しくお茶を飲んでくれた時だった。 チャイムが鳴って、俺がドアを開ければ。 「うお!タロ久しぶりっ!」 「横山っ?佐々木!」 二人並んで俺の前にいた。 そして背後に神川さん...俺を見て優しく笑う神川さんに、なんとも言えない感情が沸いてくる。 俺は神川さんに頭を下げた。 「お誘い...ありがとうございます」 「太郎、久し振りだね」 なんて言いながら俺の頭を撫でようとしたのか手が頭に乗る前に...。 横から長い手で神川さんの腕を掴んでしまった。 「どーも」 瞬がぶっきらぼうに挨拶すると神川さんも手を引いた。 「今回は、ボディガード付きか…楽しみだよ太郎」 そう言って俺の腕を引く神川さん。 バランス崩して、神川さんの方に身体が傾いたのに、瞬の腕が俺の腹を支えてすっぽり瞬の腕の中に捕えられた。 「俺のなんで、ちょっかい出すな」 ドスの効いた声で、神川さんを威嚇してる瞬、まさかまだこの人は諦めてないのかと呆然とする俺。 男同志の奪い合いを目の当たりにする元同僚...変な関係図だな。 「神川さん、からかうのやめてください」 ちょっと胸が痛むけど、俺より瞬の方が辛いんだ。 そう思うと自然と口から言葉が出た。 「太郎に怒られたくないから、やめとく」 と、またもや思わせぶりな言葉を吐いて、神川さんは入口から遠のいた。 「宴会19時だからなー遅れないように」 そう言って、去っていく姿をポカーンと見てた。 「ニノ、タロの嫁だったんじゃ?」 瞬の対応に驚いたのは意外にも佐々木と横山で、横山が、恐る恐ると言った感じで聞いてきた。
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