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成沢さんは、金曜の夕方に「喫茶・薔薇色」に来るようになった。
ハンカチをいただいた翌週は、会社主催の飲み会があったので
薔薇色には行かなかったが、月曜の朝に小此木さんがご丁寧にも報告してくれた。
「今度成沢さんがお店にきたらラインで知らせるよ。あ、村山さんスマホ持ってないね」
80になる年寄りがスマホを扱えるっていうのに、
30歳も年下の私はいまだにガラケーでがんばっている。
遅れてるよ、と小此木さんに鼻で笑われた。
「いいんですよ、スマホは無くても生きていけますから。
それにメールはできるでしょ?」
なんだかんだ言いながら、そこは外さない。
どんな手段でもかまわない。情報を教えてくれるなら。
「でも・・めずらしいですね、マスターがそんなお節介するの。
なにか・・企んでるんじゃないでしょうね?」
私は大先輩をからかいながらも、心の隅で不思議に思った。
どうしてわざわざ私に成沢さんが来ている事を知らせるのか。
知らせるということは、店に寄れ、ということか。
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