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「トシ坊は甥っ子なんですわ。弟が仕事見つからんちゅうからじゃあうちで雇ってやる言うて働かしてたんだけども、まさか、騙されたとか言っとりますけど、ほんとにすみませんね、これ見てびっくりしまして」
社長は由紀の送った催告書を取り出した。
「はい、ご連絡いただいて本当に助かりました。お話は聞いてましたが、とはいえ山野さんが持ってらっしゃったときの税金ですし、そうこうしているうちに連絡も取れなくなって困っていたんです」
山野本人はむすっと黙りこくったままだ。
「おっしゃってた金額を用意しました」
小刻みにふるえる手で老人が手渡した封筒の中身を由紀が数える。
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