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 目覚ましのピピピという音をきっちり三回聞いてから、真千子(まちこ)は枕元の携帯電話に手を伸ばした。正確には、今まで寝ていたのだから、もっと前から鳴り続けていたのかもしれない。しかし確信があった。ちょうど見ていた夢をかき切るように、ピピピと目覚ましが鳴ってくれたのだ。  ピピピ、ピピピ、ピピピ、……ぴっ。  嫌な夢だった。上半身を起こして頭を振る。これで夢のことを考えるのはもうおしまい。  立ち上がって、畳の上に敷いてあった布団をたたむ。キッチンに向かい、冷えた麦茶を一杯飲む。朝食はパンとヨーグルトをかけたグラノーラだ。食パンを焼きながらカフェオレボウルに好みの割合でミックスさせたグラノーラを入れる。焼けたパンに蜂蜜を塗る。ほおばるとカリっという食感、そして鼻にのぼる熱気とほんのすこしの酸っぱい香り。  胚芽入りの食パンが気に入りで、いつも職場近くのパン屋で買って帰る。たまに惣菜パンや菓子パンにも手を伸ばしてしまうが、残業が長引いた日などはパン屋の閉店時間に間に合わない。真千子は、パン屋でパンを買うためだけに仕事を頑張る日もある。  最後の一口を頬張りながら時計を見る。まだ時間には余裕があった。続いて、隣のカレンダーに目を移す……はあと息が漏れ出た。
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