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 今日は真千子の誕生日だった。ついに三十六歳になってしまった。  ――あー。アラフォーか……  溢れたため息はけして「アラフォー」なんて品のない響きのせいではなかった。自分ひとり、いや、彼とふたりだったら年など気にはしなかっただろう。したとしても、それは別の意味だっただろう。  先ほど見た夢が思い出された。 「あんたももう四十だろ? 俺はまだいいけど、ちょっとは先のこと考えなよ」 「なに言ってるのよ? 私、まだ三十五だよ。それにそういうことも含めてこれまで付き合ってきたんじゃ」 「『まだ』ってさあ」  鼻で笑われた。今まで気づかなかったのが不思議なくらい心底カンに触る笑い方だった。 「あんた来月誕生日だろ、アラフォーじゃん。つまり、もう付き合いきれないって言ってんの。じゃあ荷物は持ってくから、サヨナラ」
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