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もちろん、そんなのはこっちから願い下げだが、不思議に孤独だの淋しいだのという感傷もなかった。
勉強の方は中の上。
人並みに大学には行ったものの、文科系だったこともあってロクに学校には行かなかったが、なんとか卒業した。
後に警察官になったが、ここでも真面目な奴と言われるだけで、友達らしきものも出来なかったし、仲良くしたくもなかったが、それで困らなかった。
現場は凄惨なものだった。
まだ年わもいかないガキが死んでいた。
親が留守にしている間にこうなったらしい。
まるで身体の中を食い荒された挙句、苦しみ抜いて死んだような顔をしている。
外傷が見当たらないところからすると、病死か事故死だろう。
鑑識が色々調べた後に、司法解剖すれば、すぐに答えは出るだろう。
泣き崩れた子供の両親は、大声を出して泣いていたが、無理もない、まだまだ可愛らしい顔をした幼な子だ。
これぐらいの頃が、子供も一番可愛い頃ではないか。
「病死かね」
とは上司の吉沢だ。
「そうかもしれませんね、事故的なものかもしれませんが」
「かなり苦しんだ形跡があるが、ひょっとすると毒性のものを口に含んだ可能性もあるね」
「その辺は解剖所見で明らかになるでしょうが、その線があるなら毒殺も考えられますね」
「え?こんな小さな子供をかね…?」
吉沢は驚いて目を丸くする。
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