プレゼント

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プレゼント

父は、家族想いでとても優しい人だった。 私が幼い頃、どんなに仕事が忙しくても幼稚園の運動会やお遊戯会には、母と一緒に見に来てくれたし、休みの日には家族三人で遊園地なんかにも連れて行ってくれた。 仕事で色んな場所に出掛ける父は、お土産もかかせない。 必ず、私と母の分を買って来た。 だから、誕生日とクリスマスのプレゼントも、私と母の分を用意してくれた。 いつも私が欲しかったものを、探して見つけてくれる。 クリスマスは母がケーキを作り、父がわざわざサンタクロースの恰好をして、眠っている私の枕元に綺麗に包装されたプレゼントを置いて行く。 私は、サンタクロースを信じる子供だった。 けれど、何度お願いしてももらえないプレゼントがあった。 それは、父がいつも身に着けていた腕時計。 古い手巻きのゼンマイ時計。 男物でごついけれど、私はずっとそれが欲しかった。 父に何度お願いしたけど、「じいさんの形見だから」と断られ続けた。 けれど、いつか私にくれると約束してくれた。 家族は仲が良く、とても幸せだった。
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