プロローグ

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まだまだ料理上手な母には負けるが、それなりに出来る祐にすれば、指摘されると小さなプライドが傷つくのだから仕方ない。 これでもお料理クラブの顧問や女子からは尊敬されて、つまみ食いに来る友人や運動部の男連中からは大好評なのだから。 祐が不満の声を上げると、台所に居た母がいそいそとやって来た。 「なんの為にお料理クラブに入ってるの?誰が材料費になる部費を出してあげてるの?」 そう言われては反論のしようがない。 祐は、バイトなどしたことのない箱入り息子なのだから勿論全ての資金提供元である母には逆らえなかった。 「うぅっ。分かったよ~。毎日作るよ…作ればいいんでしょ!もうっ」 プンスコし口を尖らせながらも渋々了承をする。 でも朝、昼、晩は勘弁して欲しいと言おうと思った祐に、まさかの発言が投げられた。 「あらそう?なら決定ね!祐君、朝御飯食べたら荷造り開始よ!」 「は?」 疑問に首を傾げる祐に母は満面の笑みでこう言い放った。 「海外へレッツゴー!」 まさかの発言から三日後。 祐は機内の人となっていた。
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