プレゼント

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中にある箱を取り出して、ワクワクしながら蓋を開けて見る。 「・・・・・これ、なに?」 「隼人君が欲しい者だよ。」 「・・・・ううっ!?」 後ろへ下がった拍子にガタンと椅子が音を立てて倒れ、俺は手で口を覆ったままガタガタ震えが止まらない。 そんな中、友理奈は頬杖ついてニコニコと笑っているのだ。 「隼人君が欲しいお嫁さんの早妃さん、でしょ?」 なんで・・・なんで知ってんだ。早妃の事は言ってないのに。 「隼人君、守山早妃さんと結婚しようとしてたんだよね。私、騙されちゃったじゃん。でも、早妃さんも可哀想だったよ、私の話を聞いて泣いてたよ、彼女。それにしても酷い男よね。何かおかしいと思って、あなたの事を調べたら彼女いるし、婚約指輪買ってるし。それでも、その指輪を私に渡してくれるなら許してあげようかと思ってたのになぁ。残念ね。」 確かに俺は浮気をしていた。でも、それも独身最後にちょっとした火遊びのつもりで、いづれ友理奈とは終わりにしようと思っていたのに・・・まさか、こんな事に。 「いや、その、これは・・・でも、なんで。早妃は関係ないだろ!なんで、なんで、こんな酷い事を!」 テーブルの上にある箱の中には、愛おしくて毎日撫でていた早妃の頭部が入っていた。よく見れば、箱の隅から血が滴り落ちている。 俺は気分が悪くなり、その場に吐き出してしまった。 「あら、大丈夫?隼人君。・・・駄目よ、吐き出しちゃったの?折角の私の手料理。美味しかったでしょう、あなたの可愛い早妃さんは。」 「・・・・。」 今、何て? 目の前の恐ろしい笑顔をしている女は何を口にしたんだ? 「まだまだあるから、どんどん食べてね。あなたの早妃さん、美味しいでしょう。」 俺はまた吐き出しながら、恐怖と悲しみとが入り交じり涙と鼻水を垂らして踞った。 「大丈夫、明日がクリスマス本番だもの。また、料理を作るから。」 全ては俺が招いた最悪の結果にすぎない。 包丁片手に微笑む友理奈に、俺は今年のジングルベルを聞くことなく人生を終える事を悟るのだった。
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