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「なんだか、いっつもセイちゃんが話してる特徴と一致したというか」
「うちの誠司がお世話になってます」
「いえいえ、お得様ですから気にしないでください」
先ほどまでの少しだけどんよりとしたムードとは打って変わって、ふんわりと柔らかく暖かい雰囲気が店中に漂っていた。
「でも、偶然とはいえ……残念ですね、彼氏さん、せっかくセイちゃんへのクリスマスプレゼント買いに来たのに」
「いや、そうでもないですよ。本人の好みで選んだほうが失敗しなくて済みますし」
「私、ユウさんが選ぶものなら何でもいいわよ?」
「でも」
「ん?」
「誠司が一番喜ぶものプレゼントしたいですし」
その耳をくすぐるような優しい言葉を聞いた誠司が、みるみる赤くなっていく。その顔を見られないように大きな手で覆い隠すが、髪の毛の間から透けて見える耳も同じように赤い。それを見ていた宗田は、先ほど見ていた赤いピアスを手に取る。
「誠司、少しかがんで」
言われた通り、誠司が少しかがんだ。まだ顔を隠したままだったが、二人の身長差が埋められる。宗田は少し長めの明るい茶髪をそっと耳にかけ、そのピアスを当てた。
「……似合うよ、これ」
「……本当?」
「ああ。……誠司は、何か他に気に入ったものある? あるならそれでも……」
「これ! これがいい……」
目元にかかる指先の隙間から、誠司の目が見えた。喜びが振り切って、少し涙目になっている。
「ユウさんが似合うっていうなら、それが良い……」
「わかった。じゃあ、これ、お願いします」
二人のムードを壊さないよう無になっていた店員は、ハッと我に返った。
「……はい、かしこまりました。プレゼント用の包装も致しますね」
「よろしくお願いします。……それで、誠司の買い物は?」
「え?」
「用事があって来たんだろ、付き合うよ」
「ううん! そうなんだけど、そうじゃなくって……」
「明日は午後からだから、どれだけ遅くなっても構わないし」
「……もしかして、セイちゃんもプレゼント買いに来たんじゃない?」
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