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そのヒトミの言葉を聞いた誠司の体が、みるみる赤くなっていく。傍目から見ても、照れているというのが一目瞭然だった。
「ホント、セイちゃんのその反応初々しくって好き、私」
「もう、ヒトミちゃんってば、大人をからかわないでよ!」
「いいじゃん、仲いいことはいい事だって! それで、ユウさんへのプレゼント決まったの?」
しかし、ニヤニヤしていた表情は一転、すぐに曇る。
「それが、まだなの……ユウさん、何か難しくって」
「ああ、何かわかる。宗田さんの小難しい感じ」
「そんなの簡単だって、セイちゃんが乳首に生クリーム乗っけて『プレゼントは。ワ・タ・シ』ってやればいいだけなんだから。セイちゃん、生クリームとかすぐ泡立てられるでしょ?」
「……っもう! ヒトミちゃんのおませさん!」
誠司がヒトミの背中を強く叩くと、勢いそのまま食べかけのケーキの中に顔を突っ込んでいた。その光景にあっけに取られるも、勉はヒトミを起こして、おしぼりを渡していた。
「……それで、何か候補あるの?」
「普段使いできるものかなぁって思ってて……」
「セイちゃん、乙女だねぇ。普段使いって言うと、ネクタイとかは? ユウさんって、確かいつもネクタイしてたよね?」
「それいいわね! それならお仕事の時必ず使ってくれるし……そうしようかしら?」
「やめといた方がいいと思う、ネクタイ」
盛り上がる女子(?)二人の会話に、勉が割って入った。誠司もヒロミモも、目を丸くさせ勉を見つめる。
「ツッ君、どうして?」
「うちの姉ちゃん、前社会人の彼氏にネクタイプレゼントしてたけど、失敗しちゃって……色白の人に薄い青のネクタイにしたら、めっちゃ顔色悪くみえたって」
「あらら……」
「だから、ネクタイを選ぶときはよっぽど自信があるときか、本人を連れて行った方がいいって」
「そうねぇ……私も自信ないかも。ユウさん、どんなプレゼントだと喜んでくれるかしら……」
「だから、セイちゃんが」
「その提案は却下」
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