4:every little thing “he” does is magic

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高瀬が新店舗に移ってから一か月がたった。 紗奈は高瀬がいない仕事場にも 慣れてきつつあった。 いまだに甘いカップルたちは 紗奈の心を揺さぶろうとする。 そんなとき紗奈は ポケットに忍ばせた 高瀬からもらった指輪にふれて 心を落ち着かせるのだった。 紗奈が沈んでいても ちいさなお菓子が現れ出ることはもうない。 紗奈は業務を終えるまで静かに耐えて 帰りに更衣室のロッカーにたまっていた あめ玉やチョコをひとつずつ口に含んだ。 ──もしこのちいさなお菓子が   尽きてしまったら? 紗奈はひと呼吸する。 ──そのときは高瀬に会いにいこう。 高瀬は軽薄そうな笑みを浮かべながら そっと紗奈の手をとるだろう。 紗奈のゆびにはめられた指輪に 自分のゆびを重ね合わせるはずだ。 それから、紗奈が求めるもののひとつくらい 高瀬は与えてくれるかもしれない。 fin.
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