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「瀬をはやみにございます…」長官
「えっ…」懐仁
懐仁様は長官の方へと身体ごと向くと、長官は続けたのでした。
「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に あわむとぞ思ふーーー」長官
「岩にせきとめられた急流が、一度は分かれても、またひとつになる滝川ーーそれと同じように、今は恋しい人と別れても、将来は結ばれると信じるーそういう意味の詩にございます」長官
「瀬をはやみ…運命か……」懐仁
懐仁様の言葉に長官は優しくしっかりと頷いたのです。
そして長官は穏やかに微笑みながら懐仁様に言ったのです。
「たとえこの先のお二方の道が、分かれてしまわれたとしても、いつの日か再びまたひとつの同じ道になるのではありませんか…?」長官
「それが天が定めた運命ならば…」長官
「長官…」懐仁
懐仁様はこの時の長官の言葉に胸の内が救われる様な思いでした。
そして懐仁様は少し俯きながら微笑むと再び長官の方に顔を向けたのです。
「誠に感謝するー長官」懐仁
懐仁様は穏やかな笑みを浮かべながらそう言ったのでした。
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