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そしてその頃、女官から事実を聞いた佐倉宮様はとても信じられない思いでした。
「そんな筈ない…お父様が藤原家の姫を皇后として迎えるだなんて何かの間違いだわ!」佐倉宮
「しかし、先ほど大臣方の前でそう宣旨を下されたと…」女官
「…きっと何かの間違いよ…お父様の所に行くわ」佐倉宮
そう言って、佐倉宮様は直ぐに懐仁様のお部屋に向われたのでした。
佐倉宮様は今にも泣き出してしまいそうになるのを、ぐっと堪えながら足早と向かったのです。
「皇女様…」女官
懐仁様のお部屋の前に立っていた女官が佐倉宮様の姿に気づき挨拶をしたのでした。
「陛下は居られるか?」佐倉宮
佐倉宮様は直ぐにその女官にそう尋ねたのでした。
「はい、皇女様」女官
「ならば急ぎ取り次いで」佐倉宮
「はい皇女様…」女官
そう言って女官は直ちに内官に知らせるとそれを懐仁様に伝えたのでした。
「陛下、皇女様が急ぎお会いになられたいとの事にございます」内官
「よい、通せ」懐仁
「はい陛下…」内官
懐仁様はそう内官に言うと、これから告げなければならない言葉の数々を思い浮かべて胸を痛めていたのでした。
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