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「えっ……」佐倉宮
「良いか皇女、余はこの国の万民を守る帝だ…そしてその皇女であるそなたは皇族だー」懐仁
「分かっております」佐倉宮
「いいや、そなたは分かっておらぬーー皇族とは他の者よりも己の意思など通してはならぬ者…そして時として皇族とは己の家族よりも万民を優先にしなければならぬ」懐仁
「それが政であり、皇族に生まれた者の使命じゃ」懐仁
「故に、聡子一人を取り戻すために万民を、この国を犠牲にすることは出来ぬ」懐仁
懐仁様はまくし立てるかのように冷たくそう佐倉宮様に言ったのでした。
しかし本当は言っている間、懐仁様の心は折れそうになっていましたが、それでもこれは皇女様の望むところなのだと思えば耐えられたのでした。
そして懐仁様の言葉を聞いた佐倉宮様は大粒の涙を流していたのでした。
そして佐倉宮様は涙を流しながら懐仁様に言ったのでした。
「ならば、私は…皇女になど、皇族などに生まれなければよかった…そうすれば少なくともお母様とこの様な別れ方はしなくとも良いではないですか!」佐倉宮
佐倉宮様は悔しさを色濃く滲ませながらそう言ったのでした。
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