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「お顔をお上げください皇女様」道長
道長はそう言うと皇女様の前に腰を下ろしたのでした。
そしてゆっくりと皇女様も顔を上げると道長が話し出したのでした。
「お聞きになられましたか…定子が陛下のもとに嫁ぎ皇后となりました」道長
「はい、存じております…」若草宮
「私もこれからはより大きな力を持つでしょう…故にもう宮殿に皇女様の戻る場所はありません」道長
「ですから…もう陛下の事はお忘れくださいませ」道長
「道長殿…」若草宮
皇女様は道長の言葉に動揺を隠せませんでした。
そして道長は皇女様の手を握りながら言ったのでした。
「私は貴女様の心が欲しい…故に」道長
「それは出来ませぬ…」若草宮
皇女様は道長の言葉を遮り、道長に言ったのでした。
「それだけは出来ませぬ」若草宮
「何故なのです!」道長
「私の心は生涯あの方のものです…それだけは変えられません…変えることが出来ないのです道長殿」若草宮
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