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「ですが、道長殿の妻にとの命がくだされた折は、謹んでお受けしますーーなれど、どうかそれ以上は望まないでください」若草宮
道長は皇女様の言った言葉に動揺が隠せませんでした。
そして握っていた手を離して皇女様の肩を両手で掴んだのでした。
「一体何故なのです皇女様!」道長
「道長殿…」若草宮
「何故…私を受け入れてはくれぬのでございますか!」道長
「私はこんなにも貴女様を想っているというのに」道長
道長は潤んだ瞳を真っ直ぐと皇女様に向けて言ったのでした。
しかしそんな道長の姿を見た皇女様は片方の目から涙を一滴流したのでした。
「いいえ…違います…道長殿は気づいておられないのですか?」若草宮
「えっ…」道長
「道長殿が誠に心から大事になされて手放す事の出来ない御方は私ではなく、鷹司殿にございましょう」若草宮
道長は皇女様の言葉に衝撃を受けたのでした。
「一体、何を…」道長
「私がそうであるように、道長殿にとっても正室である鷹司殿はそう容易く離縁出来るような方ではないでしょう」若草宮
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