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「何を仰るのです!」道長
「私が心から思い慕うのは鷹司殿ではなく、皇女様です!」道長
「いいえ、それは違いますーーー」若草宮
「皇女様…」道長
「確かに、その昔私は道長殿をお慕いし、道長殿も私を慕ってくださいました…なれど今はもう昔とは違います」若草宮
「私の中では、それは私が生きてきた中で最も美しく忘れることの出来ない思い出です」若草宮
皇女様は目の前にいる道長に涙を流しながら微笑んでそう言ったのです。
そして皇女様は言葉を続けたのでした。
「ですが、道長殿にとってその想いはもはやただの執着と成り果ててしまった…」若草宮
皇女様は悲しそうにそう言ったのでした。
しかしその皇女様の思いは目の前の道長には届きませんでした。
そして怒ったような冷たい瞳をして皇女様に静かに言ったのです。
「…それでも構わない」道長
「えっ…」若草宮
「執着だろうとそのようなことは関係ない…!」道長
そう言うとそのまま皇女様を自分の方へと引き寄せて抱きしめたのです。
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