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「それでも道長殿はもう、鷹司殿を愛し始めているのですよ…」若草宮
「皇女様…」道長
「私はそれでも恨みは致しません…なれど早くその事にお気づきになりそしてーーその想いを受け入れてください」若草宮
皇女様は切ないく優しい微笑みを見せながら、道長にそう言ったのでした。
道長はとても複雑な思いでした。
道長にとって鷹司殿は己の正室であり、ずっと道長だけを想い続けている御方…確かに道長にとって鷹司殿が大切でないと言えば、それは嘘になるのでした…
しかし、それでも道長にとって皇女様は今でも特別な存在で、他の誰かの者になるなど想像するだけで怒りが込み上げてくるほど嫌だったのです。
そして片方の手に力を込めながら道長は皇女様に言ったのでした。
「確かに皇女様の仰る通り、私は鷹司殿を昔とは違う、何か特別な想いを抱き始めているのかもしれません…」道長
「ですが、私にとっては皇女様は今も変わらぬ特別な御方なのです」道長
道長は皇女様を真っ直ぐと見つめながら瞳に涙を湛えながらそう言ったのでした。
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