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「それでも、ふとした時に考えてしまうのだ…聡子は今何をしているのか、不自由な思いはしていないか…気づけばいつもそんな事ばかり考えている」懐仁
「陛下…しかし」長官
「ああ、わかっている…皇后には何の罪もない事も、どれだけ皇后の身が不憫で哀れなのかも…」懐仁
「陛下…」長官
「わずか8歳という歳でこの皇室に嫁ぎ皇后となった定子を思えばいたわり大切にし寂しい思いをさせないようにすべきだとも思う」懐仁
懐仁様はわずか10にも満たないうちに皇后となった定子様をとても哀れんでいたのでした。
ですがそれでも、懐仁様の心の中には今もずっと皇女様がいたのでした。
懐仁様は自らのその思いに対して定子様に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
未だ子供のうちにたった一人で皇室に嫁いだ定子様の孤独や寂しさを思えば、真心を尽くして愛おしむべきだと、懐仁様もわかっていました。
気持ちの整理がつかない様子の懐仁様の姿に胸が痛んだ長官は重い口を開いて言ったのです。
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