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「陛下、一つよろしいでしょうか…」長官
その言葉に少し俯いていた懐仁様は顔を上げて長官に目線を向けたのです。
そして長官は言ったのでした。
「陛下の第一の務めはお世継ぎをもうける事にございます」長官
「そのためにはどれほどその御心に若草宮様が居られようと、皇后様との初夜だけは行ってくださいませ」長官
「なんだと!…しかし長官」懐仁
懐仁様は長官の言葉に驚きを隠せませんでした。
しかし長官はそれでも言い聞かせるように懐仁様に言ったのです。
「もちろん陛下がどれほど御心を痛めているのかもよく存じておりますなれどこれはこの国の危機に関することです!」長官
「今の陛下にはお世継ぎがおりません…故にもしこのまま誠に一生若草宮様以外の姫様方とお子を作らぬおつもりですか?」長官
「だが…」懐仁
「もちろん、皇后様との初夜は10を過ぎてからにございます…ですがそれもそう遠くはありません」長官
「これは皇后様の御心を慰める為でもありますが、何よりもこれはこの国の為に陛下が成すべき事なのです」長官
そう言った長官の顔はとても真剣で真っ直ぐと懐仁様を見つめていたのでした。
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